たぐりよせたい

オーダーいただいた指輪を納品してきました。


今回は、つくるまえに好きな色・自分の色だけじゃなく、“どんな感情?”と聞いてみた。

つくるとき、何か手がかりになるものがほしい。でも、はっきりしたものはほしくない。なんとなく、手がかりで、取っ掛かりで、たぐりよせることができる、細いヒモのようなもの。


こねて、こねて、けずって、塗って、塗って、塗って

いつも途中は不明瞭で、不完全。ぜんぜんなんにもピンとこない。この方向であっているのか、なんなのか。

ほんとの最後の最後にようやく、「あ!こういうことか」と腑に落ちる。


そうだそうだ、膜だ、膜。膜を張りたいんだ。膜を張ったら、この指輪は完成なんだ。

今まで不完全でしかなかったそれは、膜を張ると途端に“完全”になったような気がした。
(でもほんとうの完全は、誰か、それの持ち主が身につけるときだ)